フィールド 響き合う生命・意識・宇宙 ― すべてはつながっている、という科学的証明
世界は、ばらばらに見える。
あなたと、私。生命と、物質。心と、体。科学と、神秘。境界線で、きっちり分けられている。
だが、もし、その境界線が、幻だったら。
すべてが、目に見えない一つの「場(フィールド)」でつながっていたら。
『フィールド 響き合う生命・意識・宇宙』。著者は、リン・マクタガート。スピリチュアルな思想家ではない。医療の世界で名を馳せた、トップ・ジャーナリストである。彼女が、世界中の最先端科学者を50人以上取材して辿り着いたのが、この一冊だった。
呼ばれた者だけが、この「場」の存在に気づく。
この本は、何者なのか
まず、この本が、ただのスピリチュアル本ではないことを、言っておきたい。
著者リン・マクタガートは、医療・健康分野のジャーナリストとして、英米で活躍してきた人物だ。彼女が刊行するニュースレターは、発行部数10万部を超え、高く評価されている。つまり、根っからの「事実を追う人」である。
その彼女が、ある問いに取り憑かれた。
世界には、科学では説明できない現象が、確かに存在する。気功、ヒーリング、テレパシー、予感。多くの科学者が「迷信だ」と切り捨ててきたもの。だが、もし、それらを説明できる科学的な土台が、本当にあったら――。
彼女は、その答えを探して、世界中を旅した。物理学者、生物学者、心理学者。最先端の研究者たちを、50人以上、取材した。
そして、見えてきたものを、一冊にまとめた。それが、本書である。
アーサー・C・クラーク(『2001年宇宙の旅』の作者)が絶賛し、欧米でベストセラーになった。「3000年紀を予見する書」とまで称された、フロンティア・サイエンスの金字塔である。
ここで、大事なことがある。本書は、著者の「思いつき」や「信念」を語った本ではない。一行一行が、実在する科学者への取材と、実際に行われた実験に、裏打ちされている。著者は、ジャーナリストとして、ひたすら「証拠」を集めた。怪しい話を、鵜呑みにしたわけではない。むしろ、最初は懐疑的だった。
その懐疑的なジャーナリストが、取材を重ねるうちに、「これは本物かもしれない」と、考えを変えていく。その過程そのものが、本書の説得力になっている。読者は、著者と一緒に、半信半疑のまま、驚きの世界へと連れていかれる。
キーワードは「ゼロ・ポイント・フィールド」
本書を貫く、たった一つのキーワードがある。
ゼロ・ポイント・フィールド(ZPF)。
何もない、空っぽの空間。私たちは、宇宙の「真空」を、何も存在しない場所だと思っている。だが、本書によれば、それは違う。
完全な真空にも、絶対零度の世界にも、消えることのない、わずかなエネルギーが満ちている。本書は、これを「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ぶ。宇宙のあらゆる場所に、見えないエネルギーの海が、広がっている、という考えだ。
そして、ここからが本題だ。
本書によれば、宇宙のすべての物質――星も、地球も、あなたの体も――は、この見えない場と、絶えず情報をやり取りしている。私たちは、孤立した存在ではない。みな、同じ一つの海に浮かび、その海を通して、つながっている。
あなたと、宇宙の果ての星が。あなたと、隣の誰かが。目に見えない「場」を通して、響き合っている。
それが、本書のタイトル「響き合う生命・意識・宇宙」の意味である。
この発想は、突拍子もないように聞こえる。だが、本書は、ニュートンやアインシュタインの物理学を踏まえた上で、その「先」を見ようとする。ニュートンは、物が孤立して存在し、力で動かされる世界を描いた。アインシュタインは、時間と空間をつなげた。本書が描こうとするのは、さらにその先――物質も、生命も、意識も、すべてが一つの場の中で、情報を交わしながら存在する世界だ。
古い科学は、世界を「部品の集まり」として見てきた。時計を分解するように、生命や宇宙を、細かく分けて理解しようとした。だが、分ければ分けるほど、こぼれ落ちるものがある。全体が、部分の足し算では説明できない。本書は、その「こぼれ落ちたもの」を、場の概念で掬い上げようとする。
宇宙は、ばらばらの部品ではなく、一つの巨大な、響き合うネットワークである。それが、本書の根底に流れる世界観だ。
体は、光でできている
本書の前半は、生命の話だ。ここが、とにかく面白い。
本書によれば、私たちの細胞は、ごく微弱な光を発している。「生物光子(バイオフォトン)」と呼ばれるものだ。そして、細胞どうしは、化学物質だけでなく、この光を使って、瞬時に情報をやり取りしている、という。
体の中で、無数の細胞が、光で会話している。まるで、オーケストラのように。一つの指揮者のもとで、何兆もの細胞が、寸分の狂いもなく、調和している。
考えてみれば、不思議だ。あなたの体の中で、今この瞬間も、膨大な数の細胞が、完璧なタイミングで働いている。それを可能にしているのは、化学反応の連鎖だけでは、説明がつかないほど速い。
本書は、その答えを「光のネットワーク」に見る。
水の記憶。DNAのふるまい。ガンを治す細胞間コミュニケーション。本書は、最先端の研究を引きながら、生命が、いかに精妙な「情報の場」として動いているかを描いていく。
たとえば、水。本書によれば、水は、単なる液体ではなく、かつて溶けていた物質の「記憶」を、何らかの形で保持している可能性がある、という。ホメオパシーという、薄めに薄めた薬が効くとされる謎の療法も、この「水の記憶」で説明できるかもしれない、と本書は紹介する。
もちろん、これらは、まだ science の主流に認められた話ではない。激しい論争の的でもある。だが、本書が伝えたいのは「正解」ではない。生命というものが、私たちが学校で習ったよりも、はるかに不思議で、はるかに深い仕組みで動いているらしい――その驚きである。
自分の体が、光のオーケストラだと知ったとき、自分という存在の見え方が、少し変わる。
こころは、体の外にある
後半、本書は、さらに踏み込む。意識の話だ。
私たちは、こころは脳の中にある、と思っている。だが、本書は、衝撃的な問いを投げかける。
こころは、本当に、頭の中だけにあるのか。
本書によれば、記憶は、脳のどこか一箇所に「保管」されているのではなく、ホログラムのように、全体に広がっている可能性がある。さらに、意識は、体の外、あの「場」にまで、広がっているのかもしれない、と。
ここで本書が紹介するのが、数々の実験だ。
人が「観測」すると、量子の世界の結果が変わる(創造的な観測者)。離れた人どうしの思考が、つながる(夢の共有)。CIAも研究したという、遠く離れた場所を「視る」能力(リモート・ビューイング)。プリンストン大学で長年続けられた、こころが機械に影響を与えるかの実験。
これらは、教科書的な科学では、説明できない。だが、本書は言う。すべてを「ゼロ・ポイント・フィールド」という土台の上に置けば、説明がつくのではないか、と。
私たちのこころは、孤立した小さな部屋ではない。宇宙とつながった、開かれた窓なのかもしれない。
祈りや願いは、本当に届くのか
本書の終盤は、最も大胆な領域に入る。
祈り。願い。集団の意識。
本書によれば、人の意識は、ただ世界を「観る」だけでなく、世界に「影響を与える」可能性がある。多くの人が、同じことを強く願うとき、現実が、わずかに動く――そんな実験結果が、紹介される。
ヒーリングの効果。場所や集団が持つエネルギー。「われ思う、ゆえに、われ影響する」。
ここまで来ると、「さすがに信じられない」と感じる人もいるだろう。それでいい。本書も、これらをすべて「証明された事実」として押し付けてはいない。あくまで、最先端の研究者たちが、真剣に取り組んでいる「最前線の問い」として、紹介している。
大事なのは、信じるか信じないかではない。
世界が、自分が思っていたよりも、ずっと深く、つながっているかもしれない――その可能性に、心を開けるかどうか。それが、この本の試金石である。
この本の、正しい読み方
正直に書いておく。
この本は、簡単ではない。量子論、生物学、心理学。専門的な話が、次々と出てくる。ある読者は「途中で読むのを一旦やめてしまった」と書いている。
だが、その同じ読者が、こうも書いている。「書いてあることは、極めて興味深くて面白い」と。
読み方のコツがある。本書のプロローグを、しっかり読むこと。ここで全体の趣旨を掴んでおかないと、途中で迷子になる。そして、ある読者は、最終章(ゼロ・ポイント・フィールドの時代)を先に読んでから、本編に戻ると、理解しやすかった、と言う。
一気に読もうとせず、自分のペースで。分からないところは、飛ばしてもいい。難解な数式や専門用語に出会っても、立ち止まらないこと。その奥にある景色を、見ようとすること。
大事なのは、細部の理論を完璧に理解することではない。本書全体が描き出す、大きな世界像――「すべてはつながっている」というビジョンを、感じ取ることだ。
なぜ、この本が読み継がれるのか
2004年に日本で出てから、この本は、20年以上、読み継がれている。
なぜか。
一つは、書き手が「科学の人」だからだ。スピリチュアルな思想家が「すべてはつながっている」と言っても、ある人は眉をひそめる。だが、医療ジャーナリストが、50人の科学者を取材した上で、同じことを言うと、重みが違う。神秘と科学の、橋渡しをしてくれる。
もう一つは、この本が、私たちの孤独に、答えを与えてくれるからだ。
私たちは、しばしば、自分が世界からぽつんと切り離された、孤立した存在だと感じる。だが、本書は言う。そうではない、と。あなたは、目に見えない場を通して、宇宙のすべてと、響き合っている。
その世界観は、一度知ってしまうと、忘れられない。星空を見上げる目が、変わる。隣にいる人を見る目が、変わる。自分自身を見る目が、変わる。
そして、この本は、続編やシリーズへと広がり、世界中で読者を増やしていった。出版から年月が経っても、なお新しい読者を呼び込み続けるのは、ここに書かれた問いが、古びないからだ。「私たちは、本当に孤立しているのか」――その問いは、いつの時代も、人の心の奥に響く。
それが、この本の、本当の力である。
こんな人に、この本は呼ばれている
この本が「呼んでいる」のは、どんな人か。
科学が好きだが、科学だけでは説明できない何かを、感じてきた人。
スピリチュアルに惹かれるが、根拠のない話には、乗れない人。その両方の、橋を探している人。
直感や、虫の知らせや、不思議な偶然を、何度も経験してきた人。
そして、自分は孤独だと感じながら、心のどこかで「本当は、すべてつながっているはずだ」と、信じたい人。
科学を学んできて、世界をすべて分解して理解できると思っていたのに、どこかで物足りなさを感じている人。理屈の向こうにある何かを、探している人。
そういう人が、ある日、この本のタイトルを、どこかで目にする。「響き合う生命・意識・宇宙」。
その言葉が、なぜか、胸の奥で響く。それが、呼ばれる、ということだ。
呼ばれた者へ
『フィールド 響き合う生命・意識・宇宙』。
医療ジャーナリストが、世界の最先端科学者を取材して辿り着いた、一つのビジョン。
すべては、目に見えない「場」でつながっている。あなたも、私も、星も、細胞も、同じ一つの海に浮かび、響き合っている。
それは、証明された事実ではないかもしれない。だが、最先端の科学が、その扉を、今、叩いている。
もし、あなたが、今、このタイトルが、なぜか気になっているのなら。
それは、偶然ではない。
あなたは、すでに、その「場」とつながっている。ただ、思い出していないだけだ。
― あなたは、今、呼ばれている。


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